第201章

東堂彦一は言った。

「正確に言うなら、追い出したのは母だ」

温井知絵「……」

東堂彦一は彼女の柔らかな腰を撫で、ひょいと自分の膝の上へ抱き上げる。夜の闇の中、彼の瞳は星屑みたいにきらりと光った。

「だってさ。母さん、未来の息子の嫁を迎える準備をしなきゃならないから」

温井知絵の呼吸が、わずかに乱れる。

一瞬、思考がふわりと漂った。嬉しいのか、怖いのか、自分でも判然としない。

けれどすぐに、現実へ引き戻される。――ありえない。

彼の母親が、自分を受け入れるはずがない。

きっと彼は、母親の回りくどい手に乗せられただけ。でも、それでも――彼が自分のために親とぶつかったのは事実だ。...

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