第207章

その場にいた全員が、思わず呆然とした。

――まさか、このタロット夫人は本当に力を持っているのか。

陸川志紀は、温井知絵の足元にへたり込んだ江崎千恵を見下ろし、もともと怯えていた心臓が、今にも止まりそうだった。

温井知絵は眉をひそめ、タロット夫人を見つめたまま、どこか遠くを見るように意識を沈める。

「……あの女、江崎千恵に何を言ったの?」

矢野芹歌が温井知絵の耳元へ身を寄せ、息が触れるほど小さな声で囁いた。

温井知絵は答えない。

隣の高橋夏希も、目を逸らさずに見入っていた。

江崎千恵の表情は、演技には見えない。だとすれば――タロット夫人は本当に、彼女の胸の奥の秘密と恐怖を言い当...

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