第209章

「一緒に行こう」

温井知絵は力なく言った。

たとえ「ついてこないで」と言ったところで、この二本の「しっぽ」は離れないだろう。さっきの言い返しが、彼女たちに妙な勘違いをさせたのかもしれない。自分は勇ましくて、怪物だって倒せる――そんなふうに。

実際は……はあ。

高橋夏希が左右の脇扉を見比べる。

「どっちに行く?」

「どこを選んでも同じだと思う。私たちが行くほうに、きっと待ち伏せがいる」

矢野芹歌が唇を引き結ぶ。

「狙いはこのお二人の奥さまと、巻き込まれたあなた。全員を襲う気はないはずよ。人の多い扉を選んで、どさくさに紛れれば逃げ道があるかも」

三人が小声で詰めていると、松本夫...

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