第210章

松本夫人は、もともと東堂彦一に事情を説明していた。

だが彼が電話に出た瞬間、顔色がさっと変わる。松本夫人もそれを見て、怖くて息をするのさえ忘れた。

「東堂社長、どうかお聞きください……」

「黙れ」

東堂彦一の視線が、氷の刃みたいに突き刺さる。

「今すぐ答えろ。邸宅の中と外に、プールだの池だの湖だの、水が溜まってる場所はあるか」

あまりの迫力に、松本夫人は思考が止まった。

「……あ、あります。1階に室内プールがひとつ、外の庭に蓮池がひとつ……それ以外はありません」

東堂彦一は数人をプールへ向かわせた。

そして自分は、蓮池へ。

救助要請の電話ができたということは、すでに外へ出...

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