第219章

温井知絵の顔から、笑みがぺり、と剥がれ落ちた。

何日も押し込めてきた感情が、彼のたった数言で一気に燃え上がる。

負の熱をぎゅうぎゅうに詰めた火の玉が、油で揚げられるみたいに胸の奥を転がり、血流に乗って脳天まで駆け上がった。

「私を楽しい気分にさせてって言うなら、私だってあなたを楽しい気分にさせるよ。それのどこが悪いの?」

「あなたが何をして、どう選んで、誰に会うかなんて……私が左右できること?」

「東堂彦一。私、十分あなたに合わせてきた。私って、あなたにとってまだ優しくない? 従順じゃない? いい子じゃない? 寛容じゃない?」

それなのに、彼は拗ねている。

拗ねる権利なんて、ど...

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