第223章

彼は立ち上がって、ドアを開けに行った。

温井知絵はダイニングに残り、そのまま食事を続ける。

どうせ安部美波――あの疫病神が戻ってきたのだろう、と決めつけていた。足音が聞こえても、彼女はのんびりとフォークを動かしながら、頭の中で「ご挨拶」の台詞まで組み立てていた。

今回ばかりは、まんまとあいつの罠に引っかかった。思い出すだけで腹が立つ。

負の感情が重なると、知能がするっと逃げる。酔っぱらって暴れたみたいに、あとで我に返ると妙に恥ずかしい――そんな感じだ。

外から足音。

けれど――。

入ってきたのは、いかにも外国紳士と淑女、という雰囲気の美男美女のペアだった。

男は金髪に碧眼。整...

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