第25章

東堂彦一はふっと振り返り、視線を落とした。声音はあくまで柔らかく、へりくだった調子で温井知絵に尋ねる。

「君の潔白を疑う声が聞こえてね。つい口が滑った。許可も取らずに言ってしまったけど……困らせてない?」

温井知絵は胸の奥に湧いた戸惑いを押し殺す。

「……私のせいで、東堂社長にご迷惑をおかけしました」

「なら、俺が説明しようか」

「……お願いします」

大きく息を吸い込みそうになるのを、必死で堪えた。

ここまで来てくれているのに、いらないなんて言ったら――それこそ無礼だ。

周囲の令嬢たちは、揃って目を輝かせた。あれほど整った顔立ちで、しかも紳士的で品がある。伏し目がちに低い声で...

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