第28章

廊下の斜め向かいから、冷えた淡白な声が飛んできた。

温井知絵は、はっと我に返る。

首だけをひねって斜め向かいを見ると、東堂彦一と目が合った。途端に顔がかっと熱くなる。

歯に衣着せぬ言葉は鋭い刃みたいに胸を貫き、ふわついていた気持ちを一息で叩き割られた。恥ずかしさで居ても立ってもいられない。

「……すみません。もうしません」

俯いて絞り出すと、

「そうだといいが」

東堂彦一は冷たくそれだけ落とし、視線を引いた。

温井知絵は、穴があったら入りたいほどだった。

正面の小沢諒も気まずそうにしている。社長がここまで不機嫌になる理由が、彼にはいまいち分からない。温井秘書が少し上の空だっ...

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