第35章

高橋夏希「……」

説き伏せたと思ったのに――くそ、全部ムダだった。

「愛してるなら、なんで九条花奈と寝たのよ! 死ねばいいじゃない!」

怒りで頭が沸騰し、夏希は机をバンッと叩いた。勝てる相手なら、そこにある灰皿で頭を叩き割ってやりたいくらいだ。

白瀬冬弥が立ち上がる。膝の上で粉々に引き裂かれた離婚協議書が、ばさばさと床へ落ち、紙片が一面に散った。

「売ったものも、燃やしたものも、全部取り戻す。……心もだ。俺たちはやり直す。今生も来世も、あいつは俺としか一緒にいられない」

吐き捨てるように言い、踵を返して出ていく。

夏希は数秒固まり、はっとして立ち上がると、扉まで追いかけて叫んだ...

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