第37章

支社の副社長――赤羽邦昌。

社内に内通者がいる可能性は考えていた。けれど、まさか彼だなんて。

「いやぁ、乱暴だなあ。うちの、肌のきめ細かい温井秘書を縛り上げるなんてさ」

赤羽邦昌は本気で心配しているふうな口ぶりで、のそのそと部屋に入ってくる。ドアを閉め、ついでみたいに壁のスイッチを押した。

ぱちっ。

……蜘蛛の巣だらけの、やけに暗い裸電球が灯る。

その頼りない光で、温井知絵はようやく周囲を見渡せた。

テーブルにソファ、テレビ台。昔の家の居間をそのまま切り取ったような造りだ。だが、床にも家具にも分厚い埃が積もり、隅々まで蜘蛛の巣が張っている。長いこと放置されていたのは一目で分かっ...

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