第40章

一同は愕然とした。

声のしたほう――入口へ視線が集まる。

そこにいたのは、全身びしょ濡れで、血の気のない顔。額と頬には擦り傷。みすぼらしく弱りきっているのに、それでも目を奪われるほど美しい女が、ドア枠にもたれていた。

温井知絵。

温井知絵だ。

会社と工場の人間はすぐに気づいた。あの、見ているだけで心が晴れるような――美貌の温井秘書。

東堂彦一が勢いよく立ち上がり、早足で駆け寄って手を貸す。星のように輝く目で言った。

「温井知絵……無事だったんだな」

胸の奥へ雪崩れ込んでくる安堵と歓喜。抱きしめたい衝動が、喉元までせり上がる。

温井知絵はかすかに笑った。

「運がよかっただけ...

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