第75章

東堂彦一は動かなかった。

深く澄んだ、やけに綺麗な目が、声もなく彼女を捉えている。

温井知絵は、あまり目を合わせたくなかった。彼の視線がこちらへ向き、目がかち合いそうになった瞬間、反射的にすっと逸らしてしまう。

彼は彼女の顔を見つめる。

彼女は彼の鎖骨を見つめる。

視線だけが、噛み合わない。

秒針が一つずつ進むたび、部屋の静けさが濃くなる。待っても待っても、彼は手を出してこない。

じわじわと焦りが胸を焼いた。

まさか……自分に脱がせるつもり?

温井知絵は思わず視線を上げ、言いかけては飲み込み、聞きたいのに聞けず、息が詰まりそうになったところで――ええい、と腹を括った。

「...

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