第79章

小沢諒の表情が、みるみる後ろめたそうに曇った。

「いや、そこまでは……伊藤おじさんが掃除に来てくれるんで、俺たちはコーヒー淹れたり、スーツにアイロンかけたり、起こしたり……」

「待って」

温井知絵が手を上げて制し、笑みがすっと消える。

「起こす? 出張に同行するならともかく、秘書って、普通は9時から5時までの仕事で、身の回りの世話までするわけじゃないよね」

小沢諒が苦し紛れに言った。

「社長、昼寝の習慣あるんで」

温井知絵は数秒、黙った。

「小沢諒。分担の話、ちゃんとしよう。あなたも社長秘書、私も社長秘書。秘書は会社の仕事がメインで、社長の身の回りはアシスタントの領分でしょ。...

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