第6章

瀬川穂乃視点

滝のように降り注ぐ雨の中、私は廃寺院の扉をよろめきながら潜り抜けた。

木の柱は稲光に照らされて不気味にそびえ立ち、割れた窓がまだらな影を落としている。ひどく痛むお腹を抱え、巨大な石像の陰に隠れながら、私は必死に息を切らした。

妊娠七ヶ月の体での逃走は困難を極め、一歩進むごとに刃物で切り刻まれるような痛みが走る。

ギイィッ!

寺院の扉が開く音に、心臓が止まるかと思った。

「穂乃……」

修平の低い声が、がらんとした寺院に響き渡る。

「そこにいるんだろう」

私は固く口を手で覆い、息を殺した。衛兵から奪った銃はまだ握りしめているが、弾が残り少ないことは...

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