第5章

高田雅弘視点

 三ヶ月。

 それは、雅弘の人生で最良の三ヶ月間だった。

 だが、現実というのは、いつも玄関先で待ち構えているという厄介な性質を持っている。

 雅弘は車を停め、病院へと足を踏み入れた。

 有村先生が待っていた。「高田教授。時間通りですね」

「彼女の様子は?」雅弘は腕時計を確認しながら尋ねた。

「肉体的には極めて良好ですよ」有村先生はそう言い、塵一つない白い廊下を歩き出した。

 有村先生はあるドアの前で足を止めた。「彼女は自分が誰であるか理解しています。技能も、生活能力も覚えている。ですが、トラウマの引き金となる感情的な繋がり――具体的には、あなたと早織さんに対す...

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