第1章

 砕け散ったガラスのような氷風が私の頬を切り裂く。私は栄光橋の欄干に立ち、指の皮が破れそうなほど強く、三枚の書類を握りしめていた。

 一枚目は、我が家の破産手続開始決定書だ。「浅倉財閥――破産手続終結」太く黒い文字の下に押された赤い印鑑は、まるで乾いた血痕のように見えた。曽祖父が築き上げ、父が命を懸けて守ろうとした一世紀にわたる一族の栄光が、この重みのない紙切れ一枚に成り果ててしまったのだ。最後のマンションも、母の形見の宝石も、すべては借金返済のために差し押さえられた。

 二枚目は、両親の事故報告書。「原因は、路面湿潤によるスリップ、運転操作ミス。事故として処理」。私は指先でその文字をなぞった。紙のざらついた感触が伝わる。けれど、あの日は快晴だった。父は二十年以上、無事故無違反を続けてきた優良ドライバーだった。母はその朝、夕食には私の大好きな味噌汁を作ると約束して笑っていたのに。警察はそれを「不幸な事故」で片付けた。すでに破滅へと転がり落ちていた一家の、泣き叫ぶ娘の訴えになど、誰も耳を貸そうとはしなかった。

 そして三枚目は、私への死刑宣告だ。予後不良の希少な心筋症だった。医師が告げた余命は、三ヶ月から半年。

 眼下に広がる漆黒の海に向かって、私は笑った。その声は風に引き裂かれ、頬を伝う涙は氷のように冷たい波しぶきと混じり合う。なんて馬鹿馬鹿しいんだ、クソッたれが。かつてこの街の社交界に君臨したこの私が、ただ息をする権利を買うためだけに、500万円もの大金を必要としているなんて。

 私の銀行口座に残されたのは、わずか3万8470円。一ヶ月分の家賃と気休めの鎮痛剤数本を買えば消えてしまう額だ。本格的な心臓の精密検査を受ける費用には、到底届きもしない。

「これが運命だっていうなら、結末くらい自分で選ばせてもらうわ」

 私は手を開いた。三枚の書類は、翼の折れた鳥のように螺旋を描きながら川面へと落ちていく。そして私は瞳を閉じ、身を躍らせた。

 凍てつくような水が、私を丸ごと飲み込んだ。窒息感が茨の蔓のように体に巻きつき、胸の中で痛みが炸裂する。薄れゆく意識の中で、走馬灯のように記憶が明滅した――私の首にルビーのネックレスをかけて微笑む母。「うちの真希は、いつか会社を背負って立つんだ」と私の肩に手を置く父。二十一歳の誕生日に、白い薔薇を抱えて「俺の未来はすべて君を中心に回っている」と誓った黒木拓哉。そして、家族との食事の席でこっそりとチョコレートを手渡し、「親父のルールに君の魂まで殺させるなよ」と耳打ちしてくれた、幼馴染であり影のような存在だった神田松也。

 心臓が発作を起こして止まりかけるにつれ、それらの記憶はいっそう鮮烈に焼き付いた。私は最初からこんなに惨めだったわけじゃない。最初からゴミのように捨てられていたわけじゃなかったのに。

 かつての私は、高級ブランドスーツを纏い、母のルビーを身につけ、チャリティーガラでは会場が静まり返るほどの自信に満ち溢れていた。この街の社交界にいる誰もが、私を中心に回っていたのだ。浅倉家の令嬢を羨まない者などいただろうか? 私が「日の出が見たい」と言えば、拓哉は海外へヘリコプターを貸し切った。父の説教の後は、松也がポルシェで私を連れ出し、隣の街までドライブしてアイスクリームを食べながら、「真希はそのままで完璧なんだ」と慰めてくれた。あの頃、彼らが私に向ける眼差しは――まるで私がガラス細工と星の光でできているかのように、何よりも壊れやすく、尊いものを見るそれだった。

 そのすべてが、両親が死に、金が消え失せた瞬間に、音を立てて砕け散ったのだ。

 最初に変わったのは拓哉だった。帰宅は遅くなり、電話には出ず、会話をしようとしても、まるで歯を抜くような苦痛を感じるようになった。私がついにプライドを飲み込み、ただ私たちが生きていくために必要なだけの援助を頼んだとき、彼はあからさまに顔をしかめた。「真希、俺だって金のなる木を持ってるわけじゃないんだよ」。その声は冷たく、よそよそしく、まるで私がすでに見知らぬ他人であるかのような響きだった。結局のところ、彼はとっくに他の令嬢たちに取り入っていたのだ。私の破滅が、彼まで道連れにすることを恐れて。

 松也の裏切りは、さらに深く私を抉った。子供の頃からずっとそばにいてくれた彼なら、最後まで私の味方でいてくれると思っていたのに。けれど、破産のニュースが新聞に載った途端、彼は煙のように消えた。何十通ものメッセージ、数えきれないほどの電話、そのすべてが無視された。その後、私は中心街で新しい取り巻きたちと談笑する彼を見かけた。目が合った瞬間、彼は視線を逸らし、早足で去っていった。私の存在に気づいた素振りさえ見せずに。

 私はかつての人生を彷徨う亡霊となり、あの狭苦しいワンルームアパートに身を潜めた。あまりの惨めさに、どこへ顔を出すこともできなかった。自分がひどい姿をしていることは分かっていたが、孤独が私を生きたまま蝕んでいた。

 離婚届への署名は五分で終わった。私は拓哉が提示した慰謝料をすべて拒否して立ち去った――あの頃の私にはまだ、彼からの情けを受け取ることを拒むだけの「浅倉の誇り」が残っていたのだ。ああ、今となってはなんと滑稽な笑い話だろう。

 その後? 貯金を使い果たし、底辺の仕事を転々とし、私の不幸話に飽きられるまで友人の家のソファを渡り歩いた。そして先週、胸の痛みで救急搬送され、ついに自分の「使用期限」を告げられたのだ。

「起きろ! おい、目を覚ますんだ!」

 誰かが私の頬を叩いている。刺すような蛍光灯の光に、私は目を細めた。

「運が良かったですね、浅倉さん」消毒液の臭いをさせた相沢先生が、ベッドの脇に立っていた。「海上保安庁があなたを救助しました。ですが、あなたの心臓はもう限界に近い。生きたいのなら、直ちに手術が必要です。費用は500万」

 500万。

 私は笑い出した――絶望からではない。純粋な怒りからだ。自分自身の弱さへの、背中から刺してきたあの裏切り者たちへの、そしてこのどうしようもない状況すべてに対する激しい怒りだ。笑いが胸の奥で燃え上がり、熱く込み上げてくるのを止めることができない。

 窓ガラスに映る自分の姿が目に入った。こけ落ちた頬、隈だらけの目、ひび割れた唇。私の中から光という光が消え失せている。これは私じゃない。こんなものは、あるべき私の姿じゃない。

 二十一歳の浅倉真希なら、決して自分をここまで堕とさせはしなかったはずだ。彼女は気高く、不屈で、誰に対しても頭を下げない誇りを持っていた。たとえ世界が終わったとしても、瓦礫の中から再建する方法を見つけ出しただろう。

「もう十分だ」

 私は強く唇を噛み締め、手の甲で顔を乱暴に拭った。爪が手のひらに食い込む。痛みが頭をすっきりとさせてくれた。

 私は死なない。

 両親の無念を晴らすまでは。私が落ちぶれたときに追い打ちをかけた連中、その一人一人に償わせるまでは。浅倉の名に属するすべてを取り戻すまでは、絶対に。

 死神が私を欲しいって? だったら力ずくで奪ってみなさい。

 私は震える指でスマホを掴み、しかし確かな意思を持って、記憶に焼き付いている番号をダイヤルした。コールが三回、そして留守電。数秒後、テキストメッセージが届く。「手短に頼む」

 拓哉だ。

 私は画面を睨みつけ、素早く打ち込んだ。

「過去の清算をする時が来たわ」

 送信完了の表示が出ると同時に、ここ数ヶ月感じたことのなかった感覚が蘇った。まるで熱い血潮のように、全身に力が漲っていく。

 私は一度、弱さと無駄なプライドのせいで全てを失った。でも、被害者でいるのはもう終わりだ。

 今度は私が、すべてを奪い返す番だ。

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