チャプター 168 チャプター 168

ノア

金曜の夜はいつだって、刈りたての芝の匂いと汗の匂い、それから誰かがグリルでホットドッグを焼きすぎて焦がした匂いが混じっていた。

ふだんなら、それで気持ちは落ち着く。

でも今夜は違う。

ダニエルがいない初めての試合。

あいつのくだらない実況がない初めてのプレー開始。フィールドじゅうに響き渡る声で、誰よりも大声で自分を煽り立てていた、あの声がない初めてのウォームアップ。

空気が違って感じた。

軽い。

張りつめている。

両方だ。

防具を一式つけたままサイドラインに立ち、ヘルメットを手に、スタジアムの照明に照らされながら観客席が埋まっていくのを見つめた。あたり一面リッジビルの...

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