チャプター 23 チャプター 23

ジェッサ

ダニエルの家の玄関をくぐった瞬間、熱気と騒音がどろりとまとわりつく。低音が腹の底までずんずん響いて靴底から震えが伝わり、押し合う人の波とこぼれたビールの匂いに、思わず踵を返して逃げ出したくなる。

――ほんの少し、だけど。

マライアの手が私の手をきゅっと握り直し、その場に縫い留める。「息して、ジェス」彼女が耳元に顔を寄せ、音楽にかき消されないよう囁いた。「信じられないくらい素敵。とにかく歩いて。顎を上げて」

やってる。やろうとしてる。

それでも、部屋にいる全員の視線が、私ひとりに突き刺さっている気がしてならない。

驚きで目を見開く人もいれば、値踏みするように細める人もいる。...

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