チャプター 289 チャプター 289

ジェッサ

ショッピングモールはそれほど混んでいなかった。

閑散としているわけじゃない。でもぎゅうぎゅうでもない――ちゃんと自分の考えが聞こえるくらいの、ちょうどその中間。どこかから柔らかな音楽が流れ、会話のざわめきが溶け合って背景の音になっている。空気にはプレッツェルとコーヒーの匂いがふわりと漂っていた。

マライアが私の隣を歩きながら、冷たいドリンクをすすっている。彼女の視線は、品定めでもするみたいに店先を次々となぞっていった。

「分かってる?」彼女は何でもないふうに言った。「『ぶらぶらしよう』って来たのに、同じ三軒をもう二回通ってる」

私は横目で彼女を見た。

「考えを整理してるの...

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