第10章

 気づいた時にはもう動いていた。震える指でスマートフォンを握りしめ、賢治の番号をタップする。

 いきなり留守番電話になった。

 もう一度かけた。それでも留守番電話だった。

 「負傷した刑事は重体です。詳しい情報が入り次第、お伝えします……」

 息が詰まる。世界がぐらぐらと揺れて、うまく空気を吸い込めない。

 私は警察署に電話をかけた。

 「マイアミ市警です。ご用件をどうぞ」

 「長瀬、じゃなくて、アキコ・ナガセと申します。夫はケンジ・ナガセ刑事なのですが、彼の安否を確認したいんです。警官が負傷したというニュースを見て――」

 「奥様、現在進行中の作戦に関する情報はお伝えできま...

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