第17章

雲霄ホテルの朝は、申し分のない明るさだった。

最上階のラグジュアリースイートで、沈村薫子は裸足のままカーペットを踏む。

手の傷はもうだいぶ塞がっていた。

デザインに差し障りが出なかったのは、不幸中の幸いだ。

広げた大判のスケッチ用紙の上を、鉛筆がするすると滑っていく。ほんの数本、線を置いただけで、息を呑むようなオートクチュールドレスの輪郭が紙の上に立ち上がった。

藤原智史から離れてみると、むしろ発想は冴える一方だった。

薫子は満足げに傍らのコーヒーを取り、ひと口だけ含む。視線は、ソファ一面に広がったデザイン画と、あちこちに散った生地見本へ流れた。

効率はいい。けれど、ホテル暮ら...

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