第40章

夜気にひやりとした風が混じる中、その長身がふっと前に出て、風をやわらかく遮った。立ち居振る舞いの端々ににじむのは、容易には届かないほどの落ち着きと、さりげない気遣い。

「こちらのお店の料理長、もともと国賓向けの料理を担当していた方なんです。看板の薬膳スープも、いくつかの創作料理も本当に評判がよくて。普段、お付き合いの席が多い松野様には、きっと合うと思って」

沈村薫子が静かにそう案内すると、松野博はわずかに口元をゆるめた。

「君に任せる」

二人は給仕に案内され、半個室になった上品な席へ通された。

竹簾は半ばまで巻き上げられ、中庭の池を泳ぐ錦鯉が見える一方で、外の喧騒はほどよく遮られて...

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