第41章

坂原千尋は固まった。

「……今、なんて?」

「藤原智史なんて、今の私にとってはゴミ以下よ。そんな「結婚を裏切って、責任も取れなくて、挙げ句に今じゃ役立たず」を宝物みたいに抱えてるの、あなただけ」

沈村薫子は鼻で笑い、掴まれていた手を力任せに振りほどいた。

その反動で坂原千尋はよろめいて数歩下がり、背中を洗面台の角に強く打ちつける。

「っ……!」

息を呑む音が洩れた。

「そんな汚いの、自分で大事に抱えてれば? その汚い手で触らないで。気持ち悪い」

沈村薫子は引っ張られて皺になった袖口を軽く払う。

視線には露骨な嫌悪だけ。

坂原千尋を二度と見もしないまま、ドアを開けて出ていっ...

ログインして続きを読む