第63章

「……でも、血のつながりで私を縛らないで。なんで私が、自分の身体を傷つけてまで――憎んで骨の髄まで嫌いな人間の息子を助けなきゃいけないの?」

沈村薫子は、信じられないものを見る顔の泉原順子を見据えた。

「なに? 私が冷たいって言いたいの?」

泉原順子は床にへたり込み、顔を上げたまま、息が切れそうなほど泣いた。

「薫子……お願い、あの子を助けて……!」

ふいに、思い出したように言葉をつなぐ。まるで切り札でも見つけたみたいに。

「私のこと、憎いんでしょ? だったら……一樹を助けてくれるなら、私、親権を放棄する! 何も持たずに出ていく! 沈村家から出ていく! 一生、あなたたちの前から消...

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