第68章

沈村薫子は、きっぱりと言い放った。

「藤原智史。あなたを助けるのは、これで最後。これから先、あなたが生きようが死のうが……私には関係ない」

言い終えるや否や、彼女はその腕を振りほどき、背を向けて歩き出す。

「薫子、待って!」

呼び止める声もむなしく、薫子の背中は遠ざかる一方だった。

藤原智史の胸の奥で、恐怖が爆ぜた。

今日ここで手を離したら、もう二度と――本当に、永遠に失う。

そんな確信めいた直感が、喉元までせり上がる。

彼は半ば狂ったように駆け出し、沈村薫子のトレンチコートの裾を掴んだ。

「離して!」

薫子がぴたりと足を止め、振り返って怒鳴る。

「離さない! 離さない...

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