第80章

沈村薫子は、しばらく呆然と立ち尽くした。だが次の瞬間、踵を返して廊下へ飛び出す。

「ちょ、薫子さん! どこ行くの?!」

背後で小春が叫んだが、薫子は振り向かない。

エレベーターに飛び込み、あっという間に博グループの1階ロビーへ降りた。

ビルの前には、すでに人だかりができている。

記者たちが大きなカメラを肩に担ぎ、噴水のそばで三々五々、ひそひそと言葉を交わしていた。

博グループの社員証を下げた社員が数人、階段に立ち尽くし、灰色の顔で煙草を回している。

薫子はそのまま受付へ突進した。

受付の女性が立ち上がり、慌てて声をかける。

「お嬢さん、どなたにご用件でしょうか。ご予約は――...

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