第95章

沈村一樹の死は、沈村家が最後まで被っていた薄っぺらい仮面を、容赦なく引き裂いた。

子を失う痛み。

それに重なるように、霧山リゾート計画が文化財局の手で再調査に入る。

二重の打撃を受け、沈村芳明は完全に狂った。

丹念に築いてきた政治の足場は崩れかけ、唯一の後継者まで逝った。

そのすべてを――沈村薫子のせいだと決めつけた。

沈村芳明にとって、沈村薫子は「母親を殺し、弟を殺した」不吉な女。そういう存在だった。

だが狂気の奥で、彼はもっと別のものを恐れていた。

このタイミングで薫子が、記者に一言でも漏らせば。

自分の政治生命は、そこで終わる。

T市。霧雨が街を濡らす。

スタジオ...

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