第99章

母があのとき、あんなにも迷いなく高層階から身を投げた理由が――これで、やっと分かった。

「じゃあ……母は……あのとき飛び降りたの、本当に気が狂ったとか、罪悪感だけが理由だったの?」

沈村薫子の声は、掠れて形にならない。

「違います。お嬢様が飛び降りる前に、一度だけ……正気に戻ったんです」

村田は奥歯を噛みしめ、憎しみを押し殺すように言った。

「偶然、沈村芳明と泉原順子の会話を聞いてしまった。あの毒入りのスープは、沈村芳明がわざと……お爺様と奥様に届けさせたものだって。母上は知ったんです。自分が、実の両親を殺す手助けをした共犯になっていたことを」

村田の声が震える。

「それに――...

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