第10章 彼女が欲しい

眞岛温子は車の前でしばらくいじくり回したが、自分のガソリンが全部抜かれていることに気づいた。

誰の仕業かなんて考えるまでもない。

「後でアイツらと清算してやる!」

幸い彼女は用心深く、予備の燃料タンクを持ってきていた。

給油している間も、ちょうど出てきた松本渚をなだめるのを忘れなかった。

「今日は疲れただろうから、家まで送るよ」

松本渚は頷いた。「うん、松本家に帰るわ」

眞岛温子は瞬時に目を見開いた。

「ちょっと、本気?お父さんの浮気相手が娘連れて松本家に住み着いてるのよ!今日あんなに醜い騒ぎになったのに、まだ帰るつもり?」

予想通りだった。そもそも松本渚が今回帰ってきたの...

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