第12章 父の叱責

「大丈夫?」

藤原時は女の子のさっきからの感情の変化をすべて見ていた。その電話こそが、すべての元凶だった。

松本渚はすぐに冷静を取り戻し、電話の向こうの見知らぬ父親に冷たく言った。

「焦らないで。あなたたちの処理はちゃんとするわ」

言い終わると、直接電話を切った。

藤原時はすでに鍵を取り出してドアを開け、さっき脱いだ上着を拾い上げていた。

「帰るのか?送ってやろう」

「急いでないわ」

彼女は元凶をにらみつけ、浴室に戻って再びシャワーを浴びた。

この男がいなければ、こんなに汗をかくこともなかったのに。

浴室のドアが閉まった瞬間、男の軽快で爽やかな声が場違いに聞こえてきて、松...

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