第16章 悪意の挑発

山崎琛はそれを見て、迷わず手を伸ばして止めた。

彼は少女の細い手首を掴み、一瞬感動して、思わず握る力が強くなり、視線が少し柔らかくなった。

「渚、お姉さんにそんな態度を取らないで……」

藤原時はこの男のこういう表情が一番嫌いだった。

何より許せないのは、彼の女に手を出すことだ!

藤原時はほとんど躊躇なく動き、一見何気なく手のひらを山崎琛の肩に置き、指に力を込めると、一気に巨大な力で山崎琛の腕全体を脱臼させた。

「あっ——」

山崎琛は悲鳴を上げ、顔を歪めながらなんとか逃れ、腕をかばいながら彼を睨みつけた。

藤原時は唇を上げ、嘲笑した。

「弱いな」

この言葉で、男としての尊厳...

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