第22章 一緒に食事をする

藤原時は密かに唇を噛み、言葉を飲み込んだ。

彼女が自分の女になった瞬間から、この女の子を保護範囲に入れていた。

今後は、自分がいる限り、誰にも彼女をいじめさせない!

スマホの通知音が静寂を破り、眞岛温子はすでにレストランの住所を送ってきていた。

藤原時はそれを一瞥すると、自らアシスタントに住所を伝え、道中で席の予約も済ませた。

道中は無言のまま、松本渚は何事もなかったかのように窓の外の風景を眺め、風に髪を乱されるままにしていた。

ふと、M国に来たばかりの日々を思い出した。

異国の地で、頼る人もなく。

街角には数え切れないホームレスたちが彼女たちを見つめ、母の美しさと、彼女の若...

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