第23章 色仕掛け

こいつは真面目な言葉が一つも出てこないな!あの図々しさを見て、松本渚は仕方なく車に乗り込んだ。

「付き合いたいなら付き合えばいいわ。私は車で待ってるから。彼はすぐ来るわ」

「男か女か?」

「男よ」

藤原時の口元から笑みが消えた。「若いのか?」

松本渚は彼を一瞥して、わざと言った。

「あなたより若いわ」

車内の空気が凍りついた。アシスタントは状況がまずいと見るや、急いで車のドアを閉めた。

藤原時は瞬時に身を乗り出し、その長身を運転席に向かって伸ばし、手早くボタンを押すと、車内の窓がすべて遮られた。

狭い空間の中で、彼は体を正して近づき、危険な視線を松本渚に落とした。

松本渚...

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