第25章 庇う

お母さんがそこまで落ちぶれたのに、山崎家の御曹司である山崎琛が無実だというの?

彼女は最も嫌っていた—罪の元凶が知らぬ顔をすること。

松本渚は山崎琛の前に立ち、一言一句はっきりと告げた。

「あなたとの過去なんて、私にとって洗い落とせない恥でしかないわ。勘違いしないで、山崎グループを呑み込むなんて冗談で言ったんじゃないのよ。今のうちに、浮浪者になる前に、せいぜい人生を楽しんでおきなさい」

彼女の顔を見て、山崎琛は眉をひそめた。

彼は怒るどころか、穏やかにため息をついた。

「渚、君の本心は分かっているよ。わざわざそんな逆の言葉を言う必要はないんだ。過去を忘れられないのは分かるけど、い...

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