第35章 母と子の喧嘩

深夜、病院。

手術室の明かりがまだ灯っており、山崎琛が中で救急処置を受けていた。

山崎奥様はパジャマ姿のまま駆けつけていた。すでに長時間待機していた松本月は急いで自分のコートを脱ぎ、彼女に羽織らせた。

山崎奥様は心配そうに彼女の腕を掴んだ。

「どういうことなの?病室に見張りを付けておいたはずよ。琛がどうして勝手に抜け出したの?」

松本月は鼻をすすり、目尻の涙を拭った。

「私もわからないんです。星華ホテルのボーイさんから電話があって、駆けつけたら琛が殴られて意識不明になっていました!唇の端からは血が…」

山崎奥様はその場で動揺のあまり立っていられなくなり、松本月が支えなければ、そ...

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