第40章 修羅場

馴染みの清涼な香りが瞬く間に彼女を包み込み、藤原時の低く掠れた声が頭上から届いた。

「この数日間、俺が会いに来なかったからって、お前から積極的になってくれないのか?渚~俺は傷つくぞ」

松本渚は唇を緩めて微笑み、顔を上げて彼を見た。

「あなたのこと好きじゃないのに、どうしてわざわざ会いに行くの?」

彼女が抵抗して逃れようとした瞬間、男の腰に置かれていた手が突然力を込め、彼女を強く腕の中に閉じ込めた。

松本渚の顎が彼の指先で持ち上げられ、次の瞬間、彼のキスで残りの言葉が完全に塞がれた。

藤原時は嫉妬と怒りを感じ、ここ数日彼女に触れていなかったため、本当に恋しかった。

今、彼女の唇の...

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