第41章 喧嘩

藤原時の挑発に対し、山崎琛はまるで関心がないかのように、彼を眼中に入れていなかった。

彼の視線と注意はすべて目の前の松本渚に向けられ、その眼差しには熱と所有欲が露骨に現れ、不快感を与えていた。

松本渚は彼の体に残る治りきっていない傷を見て、山崎琛の顔を見つめながら眉をひそめた。

以前の山崎琛はこんな人ではなかった。自惚れが強く、自分を愛していない相手に執着するようなことはしなかった。

彼の後ろには常に追いかける女性たちがいたが、彼は振り返りもしなかった。

だが今の山崎琛は、すでに何度も藤原時に殴られているのに、まだしつこく貼りついてくる厄介な存在になっていた。

この顔を見ていると...

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