第42章 狂扇山崎琛

勝負の形勢が急転直下、しかも全く緊張感なく、地面に倒れたボディガード達は悲鳴を上げながらも立ち上がることもできなかった。

山崎琛はこのタイミングでその言葉を聞き、ほとんど無意識に身体を震わせた。

松本渚は彼のおどおどした様子を見て、思わず目を白黒させた。

山崎琛は生まれながらにして最高の全てを持ち、安城市全体で彼に逆らう者などいなかった。どうしてこんな苦い思いをしたことがあるだろうか。

やる勇気はあっても責任を取る勇気がない、これが名門の坊ちゃんの最も弱い部分だ。

藤原時が威圧的に近づいてくるのを見て、山崎琛は車椅子の上で震えが止まらなくなった。

必死に車椅子の肘掛けを握りしめ、...

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