第48章 何も着ない

松本保明が先に帰ってきて、家に入るなり怒鳴り始めた。

「松本渚はどこだ?あの不届き者の娘はまだ帰ってきていないのか?」

階段の上のドアが開き、ゆっくりとあくびをする声が聞こえた。「いるよ~」

彼女を見た途端、松本保明の全身に溜まっていた怒りが一気に爆発した。

「今朝早くから山崎家に呼びつけられたことを知っているのか?山崎のおくさんはいろいろと酷いことを言ってきたんだぞ。お前の姉さんがこれから嫁ぐというのに、我が松本家はどう顔を立てればいいというんだ?」

彼は手近にあった灰皿を手に取り、すぐさま階段を上がってきた。その殺気立った様子は、まるで人を殺しに来たかのようだった。

「今日中...

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