第49章 彼の助手席に座る

藤原時は真剣に考えてから、首を横に振った。

「いや、彼女は好きじゃない」

藤原弦の瞳には即座に熱情が湧き上がった。「ということは、彼女はそういう状況でも断ったの?」

藤原時は目を伏せ、静かに頷いた。

「ああ、それも一度じゃない」

藤原弦は思わず拍手喝采したくなった。この未来の義姉があまりにも素晴らしかったからだ!

藤原さんのような男が裸で目の前に立っていても断れるなんて、並外れた凄さだ。

夜、松本渚は身支度を整えて出かけようとしたところ、松本保明が帰ってきた。

佐藤雲はちょうど階段を降りてきて、反射的に意地悪な口調で彼女を皮肉った。

「渚、こんな遅くに出かけるの?そんなに綺...

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