第55章 艶めかしいキス

松本渚は眉をひそめ、自ら彼の袖をめくり上げた。

「こんなに絆創膏だらけなのに、ただぶつかっただけって言うの?」

藤原時は頷いた。「うん、大したケガじゃないから、心配しないで」

自分のために料理を作って怪我をしたのだと思うと、松本渚は少し心が和らぎ、彼の手を優しく撫でた。

「次は気をつけてね、もうこんなことしないで」

藤原時は彼女の従順な目元を見つめ、一瞬にして心がとろけてしまった。

彼は近づき、そっと彼女の唇の端に口づけた。

柔らかい唇が触れ合い、松本渚は少し身を引いた。そのとき、お腹の鳴る音が静かな雰囲気の中で場違いに響いた。

藤原時は小さく笑い、急いで彼女に食器を渡した。...

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