第58章 同床共枕

アシスタントが車を持ってきたところで、藤原時は彼女の手を引いて乗り込もうとした。

松本渚の視線は一瞬でそのフェラーリに釘付けになった。

常識的に考えれば、藤原時がこれほど早く帝都に到着したのは、間違いなく飛行機で来たはずだ。

それなのに帝都にも高級車を持っている?彼は一体何者なのか?

国家安全局に強引に踏み込む勇気がある人間はそう多くない。しかも彼らの人間を人質に取ったというのに、相手は直接手を出せないでいる。

しかし松本渚が考える暇もなく、高山健がすでに追いついてきて、やや慌てた声で言った。

「渚姉、本当に隣にいるこの男の正体を疑ったことないの?本当に彼と一緒に行くつもり?」

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