第10章

手術室に入る前、麻醉が効き始めた。

私は過去の、追憶の夢へと落ちていった。

あの年、私は十六歳だった。自力で全国屈指の進学校に合格した。

小笠原玲奈、緒方智也、そして私の好きだったあの人と、同じ高校に通うことになったのだ。

そこから、悪夢が始まった。

なぜ小笠原玲奈がそこまで私を目の敵にするのか、理解できなかった。

彼女は取り巻きを使って、私の髪に噛んだガムをなすりつけたり、鞄の中に使用済みの靴下を詰め込んだりした。

すれ違いざまに、わざと足を引っ掛けてくる。

トイレに入れば、個室の上から汚水を浴びせられる。

抵抗もしたし、教師も知っていたはずだ。けれど...

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