第3章

文房具店には、壁一面に日記帳が並んでいた。私は十分間もそこに立ち尽くし、ただそれらを眺めていた。

どれなら、瑛太の頭をぐちゃぐちゃにしてやれるだろう?

金縁の革張りのものは、あまりに気合が入りすぎている感じがした。無地のノートでは、カジュアルすぎる。そのとき、目に留まった。表紙に押し花をあしらった、クリーム色のやつ。夢の結婚式を計画している女の子が買いそうな、そんな日記帳。

あれだ。

それをひっつかむと、私は電子機器売り場へ向かった。

名札をつけた店員が、ぱたぱたと駆け寄ってきた。「何かお探しですか?」

「カメラ。高画質のビデオが撮れるやつを」

「どんなものを撮影されるんですか?」彼は私をディスプレイの壁へと案内する。「アクションシーンとか? ご家族の記録とか?」

「結婚式のビデオです」

彼は興奮した様子になった。「うわあ、おめでとうございます!でしたら、こちらなんか結婚式に最適ですよ。暗い場所でもすごく綺麗に撮れますし、手ブレ補正もついてるので安心ですし、4Kで記録できますし……」

彼がボタンや機能を実演してみせるのを、私はただ見ていた。両手はジャケットのポケットの奥深くに突っ込んでいた。もし出せば、震えているのが彼にバレてしまうからだ。

「こういう特別な瞬間を撮るのに、これは完璧ですよ」と彼は続ける。「ほら、永遠に記憶しておきたい、って思うような瞬間を」

「ええ。永遠に、ね」危うく笑いそうになった。「それにします」

会計をしてもらい、私は瑛太のクレジットカードを切った。「結婚式の準備に」と渡されていた、あのカードだ。まあ、これもそのうちに入るでしょ?

家に帰ると、クローゼットの奥、冬物のコートの後ろにすべてを押し込んだ。それから人生で一番長いシャワーを浴び、肌がひりひりするまでこすり、髪も二度洗った。その夜、瑛太が鍵を開ける音がする頃には、私はちゃんと身なりを整えていた。普通に見えるように。ここ二十四時間、私たちの関係がすべて仕組まれたものだったと知ったなんて、微塵も感じさせない、普通の私に。

「真由!」瑛太は旅行かばんを床に落とすと、私を抱きしめた。

私も抱きしめ返す。一瞬だけ、彼の胸に身を沈めた。コロンの香りも同じ。去年のクリスマスに私が贈った、あのウッディな香りだ。ほんの一瞬、脳が何事もなかったフリをしようとした。

でも、あのホテルの部屋で聞いた彼の声が蘇り、私は身を引いた。

「裕介の独身パーティー、どうだった?」私は軽い口調を保った。

「正直言うと?」彼は指で髪をかき上げた。「かなり退屈だったよ。裕介はあっという間にべろべろになるし。私は早めに切り上げて、ホテルでただ突っ伏して寝てた」

嘘つき。嘘つき。

「残念だったわね」私はキッチンへ向かう。「カレー作ったけど、お腹すいてる?」

「ペコペコだよ」

テーブルセッティングは何時間も前に済ませていた。彼の大好物のカレーを作り、ご飯を盛り、冷やしたビールまで用意して。まるでロボットのように、決まった動作をこなすだけ。

「それでね、昨日あなたの誕生日のこと考えてたんだけど」私はカレーを食べながら言った。「何か特別なことをしたかったんだけど、忙しいだろうと思って」

瑛太が固まった。ほんの一瞬、彼のフォークが止まる。「待って、覚えててくれたのか?」

「もちろんよ」私はとびきりの笑顔を彼に向けた。「でも、お祝いは今週末にできるわ。実は、あなたに相談したいことがあるの」

「へえ?」彼はリラックスしたようだった。「なんだ?」

「サプライズよ。きっと気に入るわ」

夕食の後、私たちはソファに座っていた。彼の腕が私の肩に回され、テレビでは誰も見ていない番組が流れている。こんなに近くにいると、胸が痛んだ。

「ねえ」私は静かに言った。

「ん?」

私はバッグに手を伸ばし、カメラを取り出した。「今日、これ買ったの。見て」

彼の目が見開かれる。「うわ、いいやつじゃん。何に使うんだ?」

「アイデアがあるの」私は彼の方に向き直り、本物の興奮を声に込めた。そして実際に興奮していた。ただ、彼が思うような理由からではないけれど。「結婚式まであと三週間でしょ。何か特別なことをしない?」

「たとえば?」

「私たちの場所を全部、巡るの。出会った場所、初デートの場所、プロポーズしてくれた場所、全部」私はカメラを掲げた。「そして、私たちの物語をあなたが語るの。ビデオで。あなたの視点から、すべてをね。それを私が編集して、披露宴で流すのよ」

瑛太の顔がぱっと輝いた。「真由、それ、天才的だよ」

「そう思う? ちょっと気障すぎるかと思ったんだけど」

「いや、完璧だ。まるで……私たちの物語を永遠に保存するみたいだ」彼は私の額にキスをした。「君は最高だよ」

私たちの物語を、保存する。ええ。まさにそれを、私がやろうとしていることよ。

「今週末から始めましょう」私は言った。「まずは公園。私たちの初デートの場所よ」

「あの日のこと、覚えてるよ」彼の声が和らいだ。「君、黄色いワンピース着てたよね。すごく緊張して、ほとんど話せなかったんだ」

叫び出したかった。何かを投げつけたい衝動に駆られた。あるいは、その両方を。

代わりに、私は彼の手を握りしめた。「あなたがその話をするの、待ちきれないわ」

土曜の午後、公園は家族連れやカップルでごった返していた。誰もがとても幸せそうに見えた。

私はベンチにカメラを設置し、完璧なアングルになるまで何度も調整した。瑛太は私が指示した場所に立った。三年前、私たちが初デートをした場所のすぐ近くだ。彼はいい感じだった。こぎれいなジーンズに、去年私が買ってあげたボタンシャツ。髪も珍しくちゃんとセットされている。

このために、彼はよく見せたかったのだ。カメラのために。物語のために。嘘のために。

「よし、録画開始」私は一歩下がる。「ただ話して。あの日、私を見たとき、何を考えていたか教えて」

瑛太はまっすぐレンズを見つめ、その表情がふっと和らいだ。「このベンチまで歩いてきたら、真由はもうここに来ていて、私を待ってたんだ。太陽が彼女の背にあって、髪を輝かせていて、私はただ……歩くのをやめたんだ。そこに突っ立って思った。『今まで見た中で、一番美しい人だ』って」

爪が手のひらに食い込む。

「すごく緊張したよ」と彼は続けた。「二年間、ずっと彼女に気づいてもらおうとしてたんだ。彼女は修平に夢中で、私はずっと思ってた。『もし彼女が私のことを見てくれさえすれば、本当に見つめてくれさえすれば、私たちがどうなれるか気づいてくれるのに』って」

「卒業式で、彼女が修平とはもう終わりだって、自分自身を見つめ直す時間が必要だって言ったとき、これがチャンスだと思った。そして一年後、私との交際に『はい』と言ってくれて、このまさにベンチに座っている彼女を見たとき――」彼はその日私がいた場所を指差した。「その瞬間に分かったんだ。私はこの女性と結婚する。彼女こそが、私の運命の人だって」

ファインダー越しに、彼の真剣な顔を見つめ、誠実な声を聞いていると、全身の細胞がこのカメラをあいつの頭に叩きつけたいと叫んでいた。

「すごくいいわ」私はなんとか声を絞り出した。「続けて」

そして彼は続けた。私たちの歴史のすべてを、完璧なラブストーリーに紡ぎ上げていく。彼がどれほど辛抱強かったか。決して諦めなかったこと。私とのすべての瞬間が、私こそが彼の運命の人だと確信させたこと。

「完璧よ」私はようやくそう言って、録画を停止した。「すごく良かったわ」

瑛太が歩み寄ってきて、私を抱きしめた。「本当にクールなアイデアだよ、真由。披露宴のビデオ、みんな泣いちゃうだろうな」

「ええ」私は彼のシャツに顔を押し付け、心臓の鼓動を聞いた。「間違いなく、みんな泣くでしょうね」

その夜、私は自宅の仕事部屋に鍵をかけた。いるのは私と、日記帳と、デスクランプだけ。

最初のページを開き、一番上に日付を書き込んだ。そして、自分のできる限り丁寧な字で、こう記した。

「カウントダウン、21日」

「今日、瑛太と初デートの公園にまた行った。私がカメラをセットすると、彼はそこに立って、私たちの物語を全部話してくれた。あのベンチで私を見た瞬間、分かったんだって。私と結婚するって。私が彼の運命の人だって」

ペンを止め、その言葉を見つめた。

そして、書き続けた。

「そんなことを言う彼を見ていたら、胸がいっぱいで張り裂けそうだった。三週間後、私はこの人と結婚する。二年も私を追いかけてくれて、私が浅井修平のことを乗り越えるのを待ってくれて、決して急かさずに、こんなふうに愛されるって信じさせてくれた人。

私は世界一の幸せ者だ」

ペンを置く。自分が書いたものを読み返す。ページの上で、言葉たちがとても幸せそうに見えた。とても無邪気で、疑うことを知らず、完全に恋に落ちているように。

そのとき、手に濡れた感触があった。

私は、泣いていた。

日記帳をばたんと閉じたけれど、涙は止まらなかった。熱くて、怒りに満ちた、静かな涙が、暗闇の中で座る私の顔を伝って流れ落ちていった。

私には二十一日ある。瑛太に、すべてが完璧だと思わせるための時間が。この結婚式に、このビデオに、私たちが一緒に築き上げているはずのこの美しい物語に、彼の心を注ぎ込ませるための時間が。

そして、そのすべてを、私は引き裂いてやるのだ。

まさに、彼が私にしようとしていたことと、まったく同じように。

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