第6章

二日間で三つの場所。昔、よく一緒に勉強した喫茶店。彼があの詩集を買ってくれた本屋。私たちが初めてちゃんと話した、キャンパスの広場。

毎回、同じことの繰り返し。私がカメラをセットして、指示した場所に彼が立つ。録画ボタンを押すと、彼が演じ始める。

喫茶店では、瑛太は私が教科書に集中しているときの顔がどれだけ可愛かったか、なんてことを語り続けた。本屋では、私のために本を選んだときのことを、細部まで覚えていて話してくれた。キャンパスでは、私たちの最初の会話を、私が着ていた服や、彼を笑わせた冗談まで、そっくりそのまま再現してみせた。

そのたびに、私は微笑んで、頷いて、「完璧だよ、瑛太」と...

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