第15章 あなたが生きていたらどんなにいいか

綾辻詩織の足取りは確固としており、切実で、まるで新しい人生を歩み始めたかのようだった。

二歩前に進むと、榊宗佑が案の定自分を待っていることに気づき、胸が熱くなった。

葛城彰人に傷つけられた心が、まるで癒やされていくかのようだ。

この世界にはこんなにも良い人がいるのだから、どうしてあんな卑劣な男のために残りの人生を捧げる必要があるだろうか。

離婚して本当に正解だった!

榊宗佑も綾辻詩織に気づき、車から降りて彼女の方へと歩み寄る。

手話で尋ねた。「うまくいった? 葛城彰人に何かされなかったか」

綾辻詩織は首を横に振った。「ううん」

榊宗佑は懐からハンカチを取り出して彼女に差し出し、...

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