第17章 誘惑に失敗

一体誰が耐えられるというのか?

葛城彰人は密かに何度葛城彰人を羨んだことか知れない。

葛城彰人が後で後悔しないことを願うばかりだ……。

葛城彰人は、酔っ払って運転手に別荘まで送り返された。

彼は車のドアに寄りかかり、ライターを取り出して「カチッ」と火をつけ、一本の煙草を口に咥えた。

淡い火の粉が指先で揺らめき、彼は別荘に背を向け続けていた。

以前は夜の付き合いが終わって帰ると、いつも綾辻詩織がつけておいてくれた一灯の明かりと、一杯の酔い覚ましのスープがあったものだ。

今となっては、もう誰も彼のためにそんなことをしてくれる者はいないのだろう。

彼は深く煙草を吸い込み、むせ返るよう...

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