第42章 浮気相手と嫌われ者

一体どこからか綾辻詩織が療養院にいるという情報を嗅ぎつけた者たちまで現れ、大門に詰めかけ、綾辻詩織に出てきて説明しろと迫っていた。

説明とは何だというのか。

要するに、綾辻詩織に恥をかかせたいだけなのだろう……。

当直の看護師が苦々しい顔で外から入ってきてドアをノックし、室内にいた三人の注意を引くと、一切の遠慮なく院の門前で人々が騒いでいることを告げた。

榊宗佑は、綾辻詩織のただでさえ青白い顔が、看護師の言葉と共にさらに土気色を帯びていくのを目の当たりにした。

彼はたちまち眉をひそめ、その声にはいくらか八つ当たりの色が混じっていた。

「事情は分かった。君は自分の仕事に戻りなさい」

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