第58章 あなたを抱きたい

綾辻詩織はポテトを抱いて階段を上った。

階下の黒猫にもキャットフードを持ってきてやるべきか、心の中でまだ思案していた。

さもないと、毎日ポテトの美貌を狙ってくるかもしれない。

彼女は鍵を取り出してドアを開けると、葛城彰人が彼女の小さなソファに堂々と座っているのが目に飛び込んできた。

手には彼女の一番お気に入りのマグカップを持ち、気だるげに水を飲んでいる。

綾辻詩織はその場に凍りつき、腕の中のポテトももがくのをやめた。

一人と一匹は、まるで宇宙人でも見るかのような目で葛城彰人を見つめている。

「あなた……どうしてここに?」綾辻詩織はポテトを下ろし、手話で尋ねた。

葛城彰人はカップ...

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