第59章 お前の汚い金なんて欲しくない

翌朝。

薄いレースのカーテン越しに差し込む陽光が、床にまだらな光の影を落としていた。

部屋にはまだ、昨夜の情事の残り香が漂っている。

綾辻詩織はゆっくりと目を開けた。

濃密でくるんとカールした睫毛が、微かに震える。

艶のある黒髪が滝のように枕に広がり、彼女の雪のような肌を一層引き立てていた。

部屋に、葛城彰人の姿はすでになかった。

ただ、ポテトだけが餌入れに頭を突っ込み、満足げなゴロゴロという音を立てながらカリカリを夢中で食べている。

綾辻詩織は身を起こし、座ろうと試みた。

全身を襲う気怠い痛みに、思わず息を呑む。

目を落とすと、鎖骨や肩に、点々と艶めかしい痕が散らばってい...

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